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遅ればせながら、去る15日に修士論文を提出してきました。無駄にMASTERS3人でラベルだけ統一するという暴挙に出つつ、できれば中身はあまり見ないでくれと言う本音もありつつ、とりあえず無事出せました。

というのは実は少し嘘で、提出しようと思ったら表紙に「修士論文 平成19年度(2007年度)」と書けと事務の人に言われてしまったり、僕ではないですが、申請したタイトルと違うじゃねーか!と言われて直す人がいたりで、一度受理を拒否され戻されるという恥ずかしい事態に。
再提出しにいったものの、約一名、提出票を直さずに出そうとして怒られる人いたりでしたが、何とか無事提出しました。ということで、いよいよ最終試験を終え、合格できれば修了予定となりました。アクシデントを起こさないようがんばります・・・
修士論文の提出期限は15日。どうにか9割方終わり、あとはアブスト書いて表紙作って、時間があるだけ読み直して文章を直すだけ。正直やりきれない部分・納得のいかない部分が多々あるのだが、この執着を常に感じながら生活できればなと終わってもないのに思っている。
寝起きが悪く、いままで朝起きて、飯食った後にデスクに向かうと眠くて眠くて何も出来ない・・・というケースがよくあったのだが、朝10分間wiiで遊んでから取りかかると非常に調子がいい。別にwiiじゃなくてもいいんだろうけど、文字通りウォーミングアップは大事である。
修論書いてる間、ずっと規則正しい生活でやっていたのだが、今日はもうこんな時間。とりあえず出し終わるまでもう一度集中してやらないと。寝て、起きてから。
僕は今年、大きく分けて2つのことに取り組む。1つめは今春より、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士課程に進学し、学生として研究を続けること。(あくまで進学予定である)2つめは、3月末に結婚して2人で新生活を始めること。(こちらは99%確実)この2つは一見まったくばらばらで関連のない事柄に思えるが、僕にとっては共にひとつの大きな世界を作るための行動である。
僕が作りたい世界とは、この世に生まれるすべての人が創造的に作りあげる世界である。すべての人が創造的に作り上げる世界とは、決して大それたことではない。毎日汗水流して働いて、産業を維持・発展させている人たちは少なからずこの世界を作り上げている。一方、家庭を支え、食事を作り、一家を世界へ送り出す者はこの世界を作り出す原動力だといえる。当たり前だが経済活動は世界を作る基盤である。
世界を作ることは経済活動だけではない。おじいちゃんとおばあちゃんにプレゼントするために絵を描く幼稚園に入りたてのあなた。友達の誕生日に寄せ書きを作ってプレゼントする中学生のあなた。好きな子の気を引きたくて、どうしていいのかわからなくて、ひとりで悩む高校生のあなた。彼女にプロポーズするあなた。結婚式を演出するあなた。生まれたての我が子が成長する様子を写真や映像に収めるあなた。お正月、親戚一同が寄り集まって毎年恒例の大家族になるあなた。世の中にあふれる創造的な行為はすべて世界を作り出し、動かしている。少なくとも僕は世界をこう見ている。私たちの世界が文化的にも精神的にも「豊か」なのはすべての人々が持つ創造的な気持ちと創造的な行いがあるからだと。
僕は2002年に慶應義塾大学SFCに入学し、2004年に奥出研究室の門を叩いた。それ以来「デザイン」を研究してる。デザインを研究するとはなんとも気持ち悪いことだなあと、思う方も多いだろう。実際、その頃は研究なんてほとんどしていなくてただ何かをデザインしているだけだった。奥出研究室が取り組んでいるのはインタラクションデザインと呼ばれる分野である。プロダクトデザインがプロダクトそのものをデザインする対象としているとするならば、インタラクションデザインは人とプロダクトとのインタラクションやプロダクトを通した人と人とのインタラクションをデザインの対象としている。ところが、実際にデザインするのはプロダクトやサービスである。なんだかややこしいな。いろんなことをすっ飛ばして(今思いつく最良の)結論を言うならば、インタラクションのデザインとは人々が暮らす世界のデザインに他ならない。インタラクションデザインを行うことは、それ自体で世界を作ることにつながる。実際にデザインを行い、提示することで新しい世界を提案することが出来る。新しい世界の創出は学問的な貢献に値する。今のところ、この貢献を世に伝えていくのがデザインを研究することだと考えている。
僕が研究してることを抽象的に言うならば、文化的・精神的なレベルで人々が暮らす世界を豊かにする(モノをデザインして提案する)ことである。今、僕が暮らす世界、特に日本は文化的・精神的に豊かではないと思う。経済の不安が文化的・精神的不安を引き起こすという主張もあるだろうがそうは考えない。文化的・精神的に豊かであれば、経済が多少傾いていてもポジティブに向き合えるのではないか。経済的に潤っているときは文化的・精神的な豊かさの欠落に目をつぶっていられるのかもしれない。連日報道される理解不能な凶悪犯罪、「偽装」、人を欺いてまで利益を上げようとする企業、自分が親元で暮らせるからといって毎日ぼーっとしてるだけで働かない人、要するに金さえ足りていれば他人に世界に貢献する気のない人、無計画に子供を産んで育児放棄する親、ろくにしつけもせずに学校に文句を言う親、高級車は買うけど給食費はらわねーぞな親……。このような人たちが文化的に精神的なレベルで人間として完全に麻痺してしまっているのは否めないだろう。こんな人が増殖してしまう社会をどうにかしたいというときに、僕たちは政治家や官僚として「政策」をつくったり、社会運動などをしてどうにかするという立場を取らない。あくまで「世界をデザインすること」で取り組んでいる。
ではなぜ博士課程に行くのか。実はこれは単純に研究を続けたいのとは別の次元の話である。その理由を一言で言うなら「デザインをする人間こそ学問的に高いレベルにあるべきだ」と考えるからである。もしくは、今後世界中の人がそう考えるようになるために自ら道を作りたいからである。現在日本に、「デザイナー=高学歴」などと思う人はまずいないだろう。むしろ、奇抜なことを思いつけるか、天性の才能とか、勉強はしたことないけど美的センス抜群……とまでいうと大げさかもしれないが、なんか特殊能力・専門能力であり一般人の進路とは違うようなイメージがあるのは事実だろう。しかし、人々が暮らす世界をデザインする人みんながみんな、そんなことでいいのだろうか。デザインというのは政治家や企業家より学問的な修練が必要なのではないのか。僕はデザインを外野から眺めるような研究者になるつもりはないし、大学で地位をあげて上り詰めたいなんて欲求はさらさらない。どんな身分であっても何かデザインしていたいだけである。むしろ僕のように天才でもなければ人より秀でるような特技もない人間をあざ笑うかのごとく、もっと才能のある人や実力のある人(たとえば今なら医者や弁護士を目指そうなんて思う人)が「博士号を取ってデザイナーになりたい」「デザイナーになって世界を変えるんだ」などと思えるような流れが出来てくれればこの上なくうれしいことでる。メディアデザイン研究科はそう言う人を排出するべきだと思う。
「結婚」の2文字に驚愕?期待?して読み進めてしまった方には気の毒な感じで長い文章になったが、ここからが僕が結婚する理由について。
僕が研究を行う上で不可欠な文化的・精神的な感受性の半分は彼女とともに過ごすことにより支えられている。逆に彼女の感受性の半分も僕が支えていると思う。彼女は僕以上にデザインの感受性があり、表現者であり、創造的に世界を作り出す力がある人だ。彼女とともに時間を過ごすようになってから約4年、それは奥出研究室に入るより前からである。もしかしたら彼女と時間を過ごし、彼女が僕に影響を与えていなかったら、僕はこの分野に進んでいなかったかもしれないし、これまでに制作した作品も生まれていなかったかもしれないと心から思う。もちろん共に制作したチームのメンバーがいたからこその今であるが、そもそも僕にモチベーションがなければ影も形もなかった作品ばかりである。
それは理由になってないじゃないか?と言うのはごもっともな話。1番の理由はごく簡単。今、2人で暮らしたいから。その方が、今まで以上に僕は創造的になれて、彼女もよりそうなると思うからだ。家庭を作るということの創造性を早く経験したいというのも正直な気持ちだ。もし、2人で暮らさなければ時間的制約が大きく疎遠にならざるを得ないかもしれない。それはお互いにとってもったいないことだと思うのだ。2番目の理由は進学することに責任を持ちたいから。現在「高学歴ワーキングプア」などと叫ばれているように、(少なくとも日本では)博士を出ようと出まいと生活の保証なんかない。むしろ出た方が不利なケースさえある。極論かもしれないが「博士を出るので一緒に暮らしてください」も「博士を出たので一緒に暮らしてください」と僕にとっては大差ない。収入の見込みだって大差ない。それならば、一緒に暮らしたいと思う時期に結婚したい、という思いで決めた。3番目以降はここで書くようなことではないので省略。もちろん、経済的に楽でないし、困難なことが山積みのようにあるにも関わらず、それにも関わらず快諾してくれた彼女に感謝しても仕切れない。これから「養われる」わけでもなく、近い(遠い?)将来「養う」わけでもない、新しい生活が待っている。
最後にこの記事で初めて「僕たちが結婚すること」を知った方々へ。某研究室の方々、一人一人に逐一伝えること、もしくは(瓜生の結婚話なんか聞きたくもねーよという人が含まれる中で)大勢の前で伝えることのどちらも好ましくないのではないかと考え、結局blogへのエントリーという形にしました。某会社の社員の皆様、4人が揃った機会にお伝えしようと思っていたのですが、ここ2ヶ月全員揃ったことが一度もなかったのですよ!ミーティングにはちゃんと出席しましょう!その他の友人、知り合いの皆様、「詳しく聞かせろ」ということでしたらなんなりご連絡ください。ちなみに、結婚式などは挙げるつもりですが、今すぐには行いません。そして、ベイビーはいませんよ。念のため。
遅れましたが皆様あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。今年が悪い年だったなどと言えるわけがないので、全力でがんばります。