幸運な日
直前まで行くか行かないか、迷っていたスピッツ・さいたまスーパーアリーナ公演。二度とないかもしれないから見ておこうかなと言う気持ちと、どうせろくな音で環境で聞けないだろうから行かないでおこうかなと言う気持ちが錯綜していたが、せっかく何もない日だったの行くことに。
当日券もあるとのことなので、チケットはないが、からだ単身、さいたま新都心駅へ。改札を通ったら目の前に、「アリーナ チケット1枚あります!」の紙切れを出している女性が。運良く、そしてあっけなくチケットをゲットする。しかも願ってもないアリーナ席。(要は1F席)
開場まで暇なので隣にあるジョン・レノンミュージアムのショップを覗いてみたり、てきとうに周りの景色を写真に撮ったり。駅ビルみたいなところにはすで大勢の人が待機しているのか、時間をつぶすための隙間がないので開場したらすぐに中に入る。
ライヴ開演。音響は予想通りよくないのだが、思っていたよりは悪くはなかった。というのも昨年JCBホールでの音響に比べるとむしろ良いように思えたからである。JCBホールの時は、サウンドシステムが以前と異なっていた。ギターもベースもラインで(アンプをマイクで拾わないシステムで)かなりデジタルくさいそっけない音で、かつ低音のキレが著しくよくないものに変わっていた。今思えば、今回のようなアリーナクラスの会場に対応するために導入したシステムだったのだろう。
抽象的に言うならば、JCBホールのような吸音が効いていて小さめの会場では、臨場感が落ち、なんだかうそくさい感じに、そして客席とステージが実際よりも遠く感じる印象になる音。ところがアリーナクラスの大会場ではむしろステージとの距離をあまり感じさせないような感じに仕上がっていたというところだろう。前回同様、低音域はごもごもしていてまるで聞こえない感じだったが、ボーカル、アコギ、ドラムのシンバル類などは非常にきれいに鳴っていた。ただ、もうちょっと改善できるはずだと思う。あのバスドラの音はないだろう。
音響はともかくライヴその物が非常によいものだったと思う。歌がよいバンドは、それだけで本当に強い武器になるのだと再認識する。あの大会場で、決して良くない音響の中でも、人を感動させられる歌唱力さえあれば、どんな場所でも形になるのだろう。それについては純粋にうらやましいなあ、と思った。たぶん、今までに見たライヴの中でも際だって良い調子だったのだろう。
今は無き新宿リキッドルーム、最初で最後、もっとも小規模な場所で彼らのライヴを初めて見て、今日、最もおおきなアリーナで見た。10年くらいの時間が経ったことにただ驚くばかり。
目の前の席には、小学生くらいの女の子と優しそうなお父さんが座っていた。女の子がとてもうれしそうで、なんかそれだけで心動かされるものがあった。ざっと見た感じ、かなり年配の人もいたように思う。客層の変化はいいところも悪いところもあるが、これだけ老若男女問わず楽しめる音楽ってそうはないんじゃないかと思う。ロックバンドの客だからって全員ノリノリで飛び跳ねていないといけないって誰かが決めたわけじゃないのだから。
ということで、とても運の良い一日だったのでした。